2歳までの犬の約80%が口腔に何らかの健康課題を抱えているといわれています。愛犬の歯とお口のケアは、大切な健康管理のひとつです。犬は人より歯垢が歯石に変わるスピードが速く、お口の健康課題も多いので、毎日の歯みがき習慣をつけて、口内を清潔に保ちましょう。
歯みがきは子犬のときからはじめられれば慣れやすいですが、成犬になってからでは時間がかかることがあります。
でも、歯みがきを嫌がられても諦めないでくださいね!気長に取り組むのがポイントです。一気に本格的な歯ブラシケアにチャレンジする必要はありません。愛犬の歯みがき習慣への第一歩は、お口に触られることに慣れさせることからはじまります。
ワンちゃんが少しでも嫌がったら、すぐにやめること。無理せずできることからスタートさせましょう。
※動画で使用している商品は旧パッケージです。
愛犬がリラックスしているときや遊び疲れたとき、眠そうなときなどがチャレンジしやすいタイミングです。ワンちゃんに歯みがきジェルをつけた指をなめさせながら、顔や口元をやさしくタッチ。香りや味を覚えて慣れてきたら、唇をめくって、歯や歯ぐきに触れさせましょう。じっとおとなしく触らせてくれたら、おやつのごほうびをあげて、ホメてあげることも忘れずに!
同時に「いい子だね~」などやさしい声かけもしましょう。
ジェルは歯みがきで使うものという印象が強いのですが、ワンちゃんが好む味のジェルを指につけてなめさせると喜んで、口周りに触りやすくなります。ジェルを気に入ってくれると、今後のオーラルケアトレーニングもスムーズに進みやすくなるのでおすすめです。
口周りに触れたら、ごほうびのおやつを忘れずにあげてください。なかなか触らせてくれないワンちゃんには、口周りをちょっと触ってはごほうびをあげる、を繰り返しましょう。すると「好きなことが待っているし、飼い主さんがニコニコほめてくれる」とワンちゃんにすり込まれ、やがて慣れてきます。
お口のケアの最中におやつをあげても大丈夫なの?と気になる方もいるかもしれませんが、まずは口周りに触れるようになることが優先。あげるときは、なるべく少量のおやつをあげましょう。噛むことで歯垢を落とす歯のケアができるおやつもあるのでおすすめです。
歯みがきシートをつけた指で、ワンちゃんの歯や歯ぐきを優しくタッチしたり、1本ずつくるくるとみがきます。ワンちゃんが動かないようにもう一方の手でやさしく支えながら行うとスムーズです。みがくときは、触りやすい前歯や犬歯から始め、少しずつ奥歯の方までみがきます。ワンちゃんが嫌がったら、すぐに切り上げること。しつこく続けていると、次から触らせてくれなくなります。
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愛犬が歯みがきシートに違和感を感じず指みがきをさせてくれるのは、シートが指に密着しているから。指に巻きつけるタイプのシートを使う場合は、しっかり巻き付け、ゆるんできたら巻き直すこと。
はじめる前に、歯みがきシートをきちんと指に巻くことが大切です。以下の方法でまくと、使用中でもシートがよれにくく、みがきやすくなります。
寝ころんだワンちゃんを抱きかかえるようにしてもいいですし、向かい合わせでみがいてもいいでしょう。ペットと飼い主さん、両方にとって楽な姿勢を探してください。
なかなかみがかせてくれないときは・・・
こんな裏ワザも!
シートを巻いた手におやつを持って、チラッと見せながら「待て」をさせてみがくと、ワンちゃんも楽しく歯みがきの練習ができ、簡単にみがかせてくれます。
シートやスポンジでのこすりみがきに慣れたら、いよいよ歯ブラシにチャレンジ!まずは、指みがき感覚の指サック型歯ブラシからはじめてみましょう。指先の歯ブラシにワンちゃんの好みの味のジェルをつけ、指先を小刻みに揺らし、奥歯までしっかりみがきます。
指サック歯ブラシは、ワンちゃんが受け入れやすく、飼い主さんもみがいている歯の感触を指で実感しやすいのが特徴。歯ブラシケアに進む前に、嫌がる奥歯みがきに慣れさせておきましょう。
歯ブラシを鉛筆を持つように軽く握ったら、歯と歯ぐきの境目に45度の角度であて、横方向に毛先をやさしく小刻みにゆらすようにして、1本ずつみがいていきます。歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに毛先を入れるようにして、中の汚れをかき出すように動かすのがコツです。歯みがき中は無言にならないように。やさしく声をかけたり、ホメたりして、ワンちゃんをリラックスさせましょう。
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歯の裏側はみがきにくいので、慣れるまではみがく必要はありません。またワンちゃんの集中力は長く続かないので、1回ですべてみがききろうとせず、何回かに分けてみがいてもかまいません。
力を入れて2~3回動かすよりも、軽い力で小刻みに動かすほうが歯垢はよく落ちます。飼い主さんのみがく力が強すぎて、痛くて歯みがき嫌いになるワンちゃんは多いもの。ワンちゃんの歯をみがく前に、自分の手の甲をこすってみるなど、事前に力加減を確認するといいでしょう。
不安な方はキッチンスケールを使って力加減を確認する方法もあります。ワンちゃんの場合は100g程度の力加減が適切です。人間の場合は150~200gですから、自分の歯をみがくよりもずっとやさしい力でみがいてあげてください。
毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、歯に対して45度の角度で境目の歯垢を取るつもりでブラッシングしましょう。左右に揺らすようにして1本1本みがくと、歯と歯ぐきとの境目にある歯周ポケットの歯垢も効率よく落とせます。
噛むことで歯の汚れが落ちる歯みがきおやつ。ワンちゃんが好きな味を選んで使ってみましょう。おやつとして食べさせるだけの“おいしい”お口のケアなので、今日からはじめられる一番簡単な方法です。
毎日歯みがきをするのが基本ですが、忙しい時はおやつに歯みがきガムを与えましょう。
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