シニア犬・老犬のお口ケア。歯磨きだけじゃない!今からできる方法をプロがアドバイス

ワンちゃんが年齢を重ねていくにつれ、気になってくる口臭や歯石などのお口の健康課題。
「歯みがきに挑戦したこともあるけれどうまくできなくて挫折した」
「お口のケアをしたいけれどやり方がわからない」
という飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そのまま放っておけば、お口周りだけでなく、全身の健康に悪影響を及ぼしたりすることもあります。
今からでも取り組める高齢犬のお口のケアの方法を紹介します。

<監修>鹿野 正顕先生(ドッグトレーナー/学術博士/スタディ・ドッグ・スクール代表)
麻布大学介在動物学研究室にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしても指導にも携わっている。

高齢になると、どうしてお口のお悩みが増えるの?

犬は食後6〜8時間後には歯垢が付き始め、3〜5日で歯石に変わると言われています。2歳までの犬の約80%がお口の中に何らかの健康課題を抱えている*とも言われるように、歯みがきなどのケアを何もしていなければ、年齢とともに歯石がどんどん溜まり、口臭などの原因になります。
高齢犬では活動量が減って水を飲む量も減りますし、代謝が悪くなって唾液の分泌量も低下することから歯垢がさらに付きやすくなり、若い頃には気にならなかったお口の健康課題が表面化してきます。

*WSAVA Global Dental Guidelines 世界小動物獣医師会ホームページより

高齢になるにつれ、口臭や歯石などの課題が表面化してくる。

歯みがき以外にもある!自宅でできるお口のケア

お口の健康を守るためには、自宅での日頃のお口のケアが重要です。歯みがきができれば理想的ですが、歯みがき習慣がない高齢犬を慣らしていくためには根気と長い時間が必要となり、飼い主にもワンちゃんにも負担になることも。けれども、あきらめることはありません!歯みがき以外にも、自宅ですぐに始められるお口のケア方法があります。これをきっかけにして歯みがきができるように少しずつ慣らしていけるといいですね。

1. 「噛ませる」「運動させる」「水を飲ませる」を生活習慣に

唾液には口の中の汚れを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする働きがあります。噛んで遊ぶオモチャやロープでの引っ張りっこなど、よく噛ませる遊びをしていれば歯の表面の歯垢を落としたり、噛んだ刺激で唾液の分泌を促進させることもできます。
また、唾液を作り出すためには代謝を上げることが重要です。しっかり運動させることで代謝が上がって体の循環がよくなりますし、水をたっぷり飲むようになれば口に残った汚れが洗い流されます。
「噛ませること」「運動させること」「水を飲ませること」を生活習慣として取り入れることが、お口のケアにもつながります。

遊びや運動は、お口の健康にとって大切。

2. オーラルケアグッズを有効に活用する

オーラルケアグッズを活用することで、今からでもお口の健康維持を始めましょう。しっかり噛ませて歯垢を落とす犬用歯みがきガムがオススメです。体のサイズに合わせたものを基本とし、素材違い、硬さ違い、シニア用などさまざまなタイプのものからワンちゃんにあったものを選びます。

ガムを手で持って口の横から差し入れ、少しずつ送りながら、左右の歯でしっかりと噛ませましょう。噛むことで歯みがき効果のあるものを、いつものおやつやごほうびとして与えるのもよいでしょう。また、飲み水に入れることで香りによって口臭を抑える口臭ケアウォーターもあります。

このように、歯みがきガムだけでなく、最近ではワンちゃんのお口の健康を維持するための、さまざまなオーラルケアグッズが市販されているので、それらを有効に活用しましょう。

歯みがきガムや歯みがきおやつ、口臭ケアウォーターなど、いろいろなグッズを活用するのが、お口のケアのコツ。

シニア犬の歯みがき練習は、焦らず楽しませながら!

時間はかかりますが、歯ブラシでのブラッシングを目指すことが理想です。口の周りをある程度触ることができれば、トレーニングしていくことで高齢犬でも歯みがき習慣をつけることはできます。かつて嫌な経験をして歯みがきが苦手になっているケースも多く、手を近づけただけで犬が顔を背けてしまうこともあるので、よいイメージに変えることを意識して慣らすことが重要です。

1. まずは鼻タッチから

手のひらにおやつのにおいや歯みがきジェルなどを付けて犬の顔の前に差し出し、手を動かさずに犬のほうから鼻を近づけてくるのを待ちます。鼻先が手のひらに触れた瞬間にごほうびを与え、「その手に触りたい」という感情を引き出します。

ポイントは、無理に触ろうとせず、犬から鼻を近づけてくるのを焦らず待つこと。

2. 口の周りを触ることに慣らす

鼻タッチに慣れたら、手の角度を少しずつ変えて、1と同様にごほうびを使いながら口の周りを触ることに慣らします。両手の指を合わせて輪を作り、そこに鼻先を通したらごほうびをあげるなどゲーム感覚を取り入れながら、口の周りを触られることへの抵抗をなくしていきます。

3. 口の中に指が入ることに慣らす

唇をめくったり、歯ぐきや歯に指でタッチしたりしながら、口の中に指が入ることに慣らしていきます。指にワンちゃんが好む味の『歯みがきジェル』をつけて舐めさせながらやると、口の中を触りやすくなります。歯ぐきや歯に触れるようになったら、指を少しずつ動かして、歯みがきに結びつく動作を加えていきます。

口の中に指を入れ、徐々に歯ぐきや歯を触れるように慣らしていく。

4. シートみがきに慣らす

歯に触ることの発展形で、『歯みがきシート』を巻いて指でのシートみがきの練習をします。シートみがきがスムーズにできるようになったら、歯ブラシにも挑戦してみましょう。指にはめる『指サック歯ブラシ』はシートみがきと動作がほとんど変わらないので、使いやすいアイテムです。

二人で協力できる場合は、一人がワンちゃんに『歯みがきガム』を噛ませている間に、もう一人が反対側の歯をブラッシングします。こうすることで、歯みがき中の犬の気も紛れますし、ガムを噛んでの歯みがき効果も得られるので一石二鳥です。

シートみがき、歯ブラシみがきへと慣らしていく。

いずれの行程も、少しずつ慣らす練習をしていくことと、はじめのうちは毎回必ずごほうびをあげて、よい印象を積み重ねていきましょう。

動物病院での歯石除去と自宅のケアでお口の健康を守る!

すでに歯石がたくさん付いている場合には、動物病院での歯石除去が必要になります。ただし、歯石除去をしても何もケアをしなければまた歯石が付いてしまいますので、自宅でのお口のケアは欠かせません。
ワンちゃんのお口の健康を維持していつまでも元気でいられるように、ここで紹介したいろいろな方法やグッズを組み合わせながら、できそうなことから取り組んでみてください。

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